私ごとではございますが、昨年から茶道教室に通い始めました。
ハワイでお茶?、と思いますか?
実はハワイにも表千家・裏千家の社中がいくつもあります。
私は着付け師でもあるので、昔からよくお客様に
「着付けをされるなら、茶道についてもご存知でしょう」と言われることも多く
「はあ、お茶については全く…」と若い頃は笑って答えてればすんでいましたが
いい年になった今になると、無知な自分が少し気恥ずかしくなってきました。
元々茶道には興味がありましたが踏み入れるには敷居が高い世界だと思っていたのです。
また、お客様の多くが初釜や茶道に関係する行事のためにご依頼くださっているのに
着付け師の私が、その後のお客様の行動や行事の内容を全く知らないのもいかがなものかとも感じていました。
そんな矢先、着付けを担当したお客様とそのお話をしていた所
ご自身の通う茶道教室を紹介してくれるご縁があり、今に至るわけです。
茶道を習い始めて1年ほどですが、はじめの半年間は正直何が面白いのかさっぱりわかりませんでした。
ただ決まった動作を黙々と繰り返すだけ。そこには個性や独創性など全く感じられません。
なぜ私はこんなことをやっているのかしら? なんで皆何年もこんなことを続けているの? 何が楽しいの?
と、茶室に入るたび思っていました(先生ごめんなさい)
しかし、ハワイでは貴重な美味しい和菓子とお抹茶につられて足を運ぶに連れ
少しずつ私の意識は変わっていきました。
ただ同じ動きを静かに繰り返す
お茶を立てるお相手のことを考え、決まった動作で手を運ぶ
頭の中はただ「お茶をたてる」の一点のみで他のことは全く考えるすきがありません。
一連のお手前は、かなり集中しないとできないのです。
ああ、これなんだな と
流れるような所作で静かにお茶を立てる総領事婦人の手元を見ながらそう思いました。
茶道では禅の教えからきた格言をいくつか教わりますが
中でも私は「和敬静寂」という言葉にとても感銘を受けました。
和=その場にいる人と別け隔てなく上下なく皆仲良く、和やかな空気を作り
敬=相手のことを敬い
静=こころを静かに持って、茶室(空間)茶器(道具)を常に清く清潔に保ち
寂=何が起こっても動じない心をもつ
この内容はまさに、私が日頃ウェディング(ヘアメイク)の仕事で意識している4つのことを
ズバリと四文字熟語で的確に表した言葉でした。
しかしこれはウェディングだけでなく全ての仕事や事柄に通ずる言葉だと思います。
特に道具を清潔に保つというのは美容法にも記されている通り、美容を業とする者の基本中の基本ですが
それ以上に、大切なのは「寂」
トラブルやハプニングの多発する海外ウエディングでは、私達がなにかあるごとにオロオロしていては
お客様をもっと不安にさせてしまい、結婚式が良い思い出とはなりません。
どんなことにも「大丈夫ですよ」と平常心を保つことが一番大事で難しいことだと長年の経験から学んでいます。
おかげさまで、どんなハプニング挙式の後でも
「Saekoさんに任せて安心でした。とても心強かったです。」
とお客様からお声をかけてもらえるのは名誉なことだと思います。
このホームページのはじめにもお客様に安心をお届けする、と表現していますが
会社を作った時に一番大切にしたい思いとして私が掲げたのまさに「寂」の理念でした。
そんな風にお点前を通じて色々な事を教えてくれる、奥の深〜い茶道の世界。
歳をとってものんびりと楽しみながら続けて行ければ良いなと思います。
先日、日本から裏千家大宗匠 千玄室様(なんと御年100歳)をお迎えする大きなお茶会があり恐れ多くも亭主の一人を務めさせていただきました。
日本だったらこんな大きな舞台に、新米の私が出ることなんて考えられないのですが…。
緊張しましたが、すごく良い経験をさせていただきました。
丁寧に根気よくご指導くださった田中先生、助けてくださった社中の皆様
本当にありがとうございました。